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VOL.1 楜澤晴樹 佐久市前教育長による、学びの応援コラム

【 コラム 】 2022.04.06

楜澤晴樹 佐久市前教育長による、学びの応援コラム
こんにちは☆ノズ英会話スクール オーナーのAILEENです♪
突然の私事ですが、昨年5月に佐久市教育長の任期を満了し退任され、
これまで長野県の教育界を牽引してきた楜澤晴樹 前教育長は、
アイリーンの実の父であります。
先日、ひょんなことから私の息子たちの学習状況についての相談をしました。
お勉強が楽しい!と思ってくれたらいいな、という私の願いとは裏腹に、
息子たちは「英語と算数以外はできることならやりたくない、楽しさがわからない。」
と日々、嫌々宿題をやらされている様子で、高学年になりこのままではまずい!
と感じていた私は、退任後の父に師を仰いだのです。 

 

 

 

 

 

 父は現役時代より、常に「学校・教育」というものに一心を注いでおられたので、私と一つ上の兄はその背中を見て育ちました。これまで、仕事一心の多忙の父に何か相談事をしたことがあっただろうか、、いや私の記憶にはない。しかし、校長職を退任後7年という長い期間、教育長という重責を担い長野県の教育界に貢献してきた父である。退任して少し時間ができた今、私の子育てや学校との関わり方、親としての捉え方など、とにかくいろんな悩みを相談した。なかでも、子どもの「読解力」について、これが1番の悩みであった私は、父からの話やアドバイスを聞いて本当に相談してよかった!と心が軽くなった。

英語に限らず、子どもの学力や子育てというものに悩んでいる方は多いかと思います。そこで私は、教育現場も知り、議会や行政のことも知り尽くし奮闘してきた父に、私のような子育て世代の悩みを抱えたお父さんお母さんたちの為に、ジャンルは問わずコラムを書いて欲しいと懇願しました。

今回は記念すべき第1弾です♫

 

学びの応援コラム

                                                                                     楜 澤  晴 樹

令和4年4月6日

NO.1  「初めまして」

先日、娘(愛莉)から「うちの教室向けにコラムを執筆してくれない?」との依頼があった。公職を退いて、教育関係で自分が求められることが少なくなってきた今日、若干時間をもてあましていたこともあって、私は大喜びで引き受けることにした。

 

○ 自己紹介

初回なので、簡単に自己紹介させていただこうと思う。日本を代表する哲学者のひとり、故西田幾多郎先生が京都大学を退官されるとき、学生時代と教職時代を総合して「黒板の前で一回転をなしたと言えばそれで私の伝記は尽きる」と話された。失礼ながらこれに倣わせていただくと、まず17年間黒板を前にして座した(小、中、高、大)。その後37年間黒板を背にして立った(教職)。そして義務教育の校長を定年退職した後、7年間黒板を横に見て立った。これまで黒板に向かって270度回転したことになるが、私の伝記のあらすじはそれで言い尽くせるように思う。「黒板を横に見て」は、長野県佐久市の教育長として、黒板の横に立って、教師のありようと児童生徒の姿の両方を見てきたことをこじつけてみたもの。昨年(令和3年)5月に教育長を退任し、今日に至っている。

教師としては、長野県内の、主に中学校で教鞭を執ってきた。専門教科は理科である。校長在職中、3年間は県の教育行政にも携わらせていただいた。

 

○ なぜ教職の道に?

中学生時代の学級文集に、「10年後の私」というコーナーがあった。そこに、「10年後、私は学生に科学の授業をしている。学生は目を皿のようにして・・・」などと書いた記憶がある。ここに教職を選択することになったひとつの背景が見え隠れする。簡単に言うと、「こんなに面白い科学の追究、わかっていることを駆使して、未知のことを解明していく授業の魅力・・・そこから離れて自分の職業はない」というもの。

この、「面白いから」に加えてもうひとつ理由がある。それは、我が子ではないのにその人格形成に直接、間接に関わる職業だからであるが、最初からその意義を実感しながら仕事ができた訳ではない。生徒とともにいろいろな困難を乗り越える中で、だんだんにである。

 

○ Active Learning(アクティブラーニング)

さて、教職の道を選択した一つ目の理由(背景)を再掲することになるが、私は授業で問題解決していく学習が面白くて仕方なかった。うそっぽく聞こえると思うが、食事さえも後回しにできるほどだ。問題解決の主人公(必ずしも主役とは限らない)になっての学習は、人間を輝かせてくれるように思う。教師になってから、一層この考え方を強くした。

ところで、項立てで示したActive Learning(能動的な学び)は、Passive Learning(パッシブラーニング;受け身の、受動的な学び)の反意語で、学習指導要領(文科省)の中では、「主体的・対話的で深い学び」と味付けされて登場した。私が、先ほどから述べている大きな魅力を感じる授業での学びに他ならない。義務教育では以前から主体的・能動的な学びは重視されてきたが、今回改訂の学習指導要領では高校でもそれが求められ、本年度から実施となる。

 

次号からしばらくは、この Active Learning について、事例も交えながら発信させていただこうと思う。